プラ子旅する

第四部 「無力…」

プラ子は普通の人間です。無力を感じること、いっぱいっぱいあります。だけど!

第一話 果てしない苦難

この施設の男性の棟は、ベッドの数が足りず、ベッドがずらっと並ぶ病室で床に眠ったり、50人ぐらいのかたは、棟の外の屋根だけはある場所で眠っています。

 

アディスは標高が高く、日中の強い日差しがなくなると夜は一気に冷えるため、みんな体を寄せ合って眠っています。

 

それでもここには、寒さをしのぐ毛布も、あと食料も豪華ではないけど1日3食あります。

 

ディスチャージ(退院)してしまうと、また路上生活に戻るだけの人がほとんどです。

 

女性の病棟は、1つの小さなベッドを2人で使ったり、床で眠ったりしてみんな生活しています。

 

メロンという13歳ぐらいの女の子が、

 

「私今日、ディスチャージするの。チャラカ色々ありがとうね。バイバイ」

って言ってきました。

 

 

メロンは、HIVポジティブだったけど、まだ発症前でした。

 

「メロン、家族はいるの?お友達は?眠るところはあるの?ここにもう少しだけでもいいからいたらどうかな?」

ってきくと、

 

「誰もいないけど、仕事に戻りたいの」

っていいます。

 

彼女の仕事もやっぱり体を売ることでした。

 

何度も何度も聞く私にメロンは、最後に

 

「チャラカー心配しないで。これがね、私の人生だから」って言いました。

 

なんにもしてあげれない自分に呆然としました。13歳の女の子が「自分の人生だから」ってつぶやいたことがなんだかすごく悲しくてたまりませんでした。

 

 

人はなんのために生きていくのかって考えると、苦難を乗り越えていくために生きていくんだと思う。

 

 

って本にかいてあったのを思い出しました。

 

でもここにいる子達は乗り越えていかなくてもいい苦難を、一生懸命乗り越えている気がしてなりません。

 

    2007年4月11日 原題「施設を出るということ」