第十二話 命の重さは本当に同じなの?
施設の中にいると平均寿命の低さがすごくよくわかったけど施設の外にいてもそう思います。
モザンビークも平均寿命48歳ぐらいって言われていて、でも実際はもっと低いんじゃないかなってモザンビークの国境の町で働くナイジェリア人のお医者さんが教えてくれました。
私と同じ年の子はほぼみんなご両親をどちらか、または両方亡くしています。それに必ず兄弟一人は亡くしています。産んだ子供も亡くしている子達もとても多いです。
週に何回もお葬式がご近所であります。
生活環境の悪さ、栄養不足、病気とか健康に対して十分な情報の少なさ、伝統的治療法、変なうわさ、黒魔術のこと、
いろんなことが原因で、病気にだってとてもなりやすいです。
HIVやマラリアもとてもとても多いですが、医療環境の悪さもよくわかります。
タンザニアやマラウイで病院が無料で受けれるってことであーよかったよかったって安心していましたが、お医者さんの数だってとっても少ないし、病院にみんなが必要な薬も色んな機械も、治療に必要な器具も揃っているわけじゃなくて、何も出来ずに亡くなっていってしまうことがとても高いのがよくわかります。
今一緒に生活している家族のひとりの女の子も、おなかが痛いって3日間言っていて、病院にいって痛み止めの薬だけもらえて、4日目に亡くなっていってしまいました。
こういう風に病院に行っても、結局何が原因で亡くなってしまったのかわからないことが とても多いんだと思います。
手術も別にお金かかります。
地方の小さな病院では手術設備はほぼないので首都や南アフリカまで行かなければいけないです。でも手術代や移動費、みんなには手が届かないです。
ほんの一握りの大金持ちのお家のかただけが医療設備が整っている南アにいって医療を受けれるようです。
モザンビークでは病院代5MT(23円ぐらい)必要ですが、23円が用意できない家庭もやっぱりたくさんあります。
それに病院が遠すぎて交通費だってかかります。
それで延ばし延ばしになってやっと23円用意できたときには、もう手遅れだったり。
いつもみたく、ビザの関係でマラウイに向かってその帰りのローリーの荷台でぎゅうぎゅう詰めになりながらとなりに座ったまだ10代半ばぐらい女の子が赤ちゃん抱いてました。
赤ちゃん見せてもらうともう目の焦点がなくなっている感じで口のまわりも目のふちにもはえがたくさんたかって口も少し開いたまんまで、泣くこともできなくなっていて、子供の顔じゃなくなっていて。
これから病院に向かうのって女の子、教えてくれました。
赤ちゃん抱いてるやせ細ったはだしの女の子も赤ちゃんくるんでいるぼろぼろの布もなんだか全部が悲しかったです。
電車で16時間かけて前に一緒に移動したスペインの子が言った、
「ここでは人の命の重さがとっても軽いね」って言葉、アフリカに長くいればいるほどいつもいつも思います。
2008年6月11日 原題「平均寿命のこと」